『ガリレオ』について [雑記]
高校時代のクラス会で、特殊な議論があった。それは「完全犯罪の殺人は可能か?」というものだった。もちろん、「愛国心とは何か?」とか一般的なディベートも含めて毎週あったのだけれど、完全犯罪の殺人については特に記憶に残っている。
その回で、同級生の友達の1人がこう言った。「ショック・ウェーヴを、人目につかない少し離れた所から、ターゲットの人の心臓に目がけて発射することで、心臓発作を起こさせることができる。これなら原因は分からないし、完全犯罪は可能ではないか。」と。
僕は、正直に言えば、超音波を利用したこの方法にかなり感心をしたのを覚えている。その後、彼は有名国立大学の医学部に進み、それから、僕の卒業した、いわゆる最高学府と言われる大学の医学部に現在も勤務している。それは、ここだけの話。ちなみに僕の担当教官は、後にノーベル物理学賞を受賞した。チューターは、文部大臣になったけれど・・・(選挙をテレビで観てびっくり)。
さて、今日、パートナーが録画をしていた『ガリレオ』というドラマを観たのだけれど、全く同じような設定で驚いた。というか、最初の10分で理屈が分かってしまった。それが空気を媒介とするか、水を媒介とするかだけの違いはあったものの。
『ガリレオ』はパートナーが気に入り、実は何度か観ている。その全ての回で、事件の鍵を早期に当てていたので、少しはパートナーも僕を見直してくれたかと思うけれど、理系の人間にとっては割と易しい謎解きのように思えた。分かりやすい理屈だ。福山雅治はかっこいいと思うし、変人と言われるのには同感もするのだけれど。
少し前に『博士の愛した数式』という小説が流行し、映画化もされた。小川洋子の原作も、そして寺尾聰主演の映画も観たのだけれど、これはこれで面白かった。きっと、藤原正彦先生のお話が良かったのではないかと思う。藤原先生も大学の先輩で、在学中からお名前はお聞きしていた。「品格」については何とも言えないのだけれど・・・
裏舞台を知っている元理系としては、若干物足りなさもあるのだけれど、でもその深層にある深い悩みにまで突っ込んでしまうと面白みも少なくなってしまうだろうから、初等の数論や物理学をテーマとして、多くの人々に関心を持ってもらうことはいいのだろうと思う。思えば僕も、カール・セイガンの『コスモス』という番組を中学生の頃に観てから、宇宙論の世界にのめり込んだ少年だったのだから。
セレブとか、バリューとか、お金をいかに稼ぐか、みたいな現実的な番組よりは格段に面白いと思うけれど、実際の所、やっぱり役者(福山雅治)によるところも多いのかな、とも思う。それはそれでいいとは思う。望むらくは、それで数学や物理学へ興味を持って進んでくれる少年少女たちが増えてくれることを祈るばかりだ。僕は、それで理系に進んだことを後悔していない。
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