風が強く吹いている [映画]
僕は小学校4年生から高校3年生までの約9年間、陸上部にいた。その間、ほぼ毎日2時間を、走ることに費やしていた。いや、小学校時代は往復8kmの山道を徒歩で通学していたし、高校時代は往復20kmのこれまた山道を自転車で通学していたから、歩いたり走ったりした距離は、もっと多いのかもしれない。
とにかく走ることが好きだった。走ることは、孤独で美しいというほどの境地には達しなかったけれど、走ることで自分を解放できるような気がしていた。もちろん、負けず嫌いな性格もあったのだけれど。今よりも、もっと何かを悟っていたような気がする。
陸上部ではスプリンター(短距離)とロングジャンプをやっていたけれど、当然、他の競技もやる。自由な部活だったからマラソンやクロスカントリーをはじめ、フィールドアスレチック、サッカーやバスケットボール、ハンドボール、水泳、ウェイトリフティングなども織り交ぜてやっていた。サッカー県に育ったから、特にサッカーはよくやったかもしれない。
そして、親友も、小学校から高校までずっと陸上部で一緒だった。
だからというわけでもないけれど、駅伝をテーマにした映画『風が強く吹いている』には強く引き込まれた。
走っているときは孤独だし、風の音だけが聞こえて、風景を楽しむという余裕は当時の僕にはなかったけれど、その孤独や自分との戦いと、仲間へたすきをつなぐという連帯感の両方を兼ね備えているのが駅伝の良さなのだと気がついた。仲間と、たすきでつながっていること、これは重要ですね。若さからくるひたむきさも素晴らしい。
そして、「速く」ではなく「強く」あること。
「走るってどういうことなんだ?」という問いが、やがて生きるって何なんだという問いにもつながっていく。
小説『長距離走者の孤独』もそうだけれど、走るって、人生につながっているんだなと、つくづく感じる。そして、この映画からは、仲間っていいものだな、ということも。
なによりも深刻にならずに、笑って楽しめる娯楽作品に仕上がっているところがいい。
先週末からレンタルが開始されたので、興味のある方はぜひ!それにしても、劇場公開時にもあまり宣伝をやらなかったけれど、こんなにいい作品なのに不思議です。
『風が強く吹いている』公式サイト
http://www.kaze-movie.com/