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松茸と熟成ブルゴーニュのマリアージュ [ワイン]

先月のことになるが、馴染みにしている代官山 ASO Celeste から初物の松茸が入荷したという案内が届いた。これは毎年楽しみなメニューで、通常なら9月からになるけれど、今年は特別に 7/23~8/10 までの限定で出すことにしたらしい。早速、7/25 に行ってみた。

ワインは、前座に JACQUES SELOSSE のシャンパン Initial Brut NV をボトルで用意した。これは、今回の主役のプリモ・ピアットである松茸のタリオリーニに、熟成した香りのある SELOSSE が合うのか、それとも、もう1本用意した、こちらは本当に熟成した 1990 年の Chambolle-Musigny 1er Cru "Les Amoureuses" が合うのか試す意味もあった。

まず、ストゥッツィキーノ(突き出し)には、いつものようにコンソメのゼリーとクリームチーズのスープが出てきた。もちろん、これと SELOSSE のシャンパンはよく合っている。SELOSSE は、ちょっと熟成した Corton Charlemagne のような重厚な香りがあるので、コクのあるコンソメゼリーやフォルマッジオともよく合う。

アンティパストは牛肉のカルパッチョに、水牛モッツァレラチーズのソース、そして野菜たち。これも SELOSSE で十分だった。単に薄いお肉を広げただけのカルパッチョではなく、きちんと手が入っているところが嬉しい。至福の時間が広がる。

そして、お目当てのプリモ・ピアット、松茸のタリオリーニが登場。ワインは、まだ JACQUES SELOSSE が1杯ちょっとあったけれど、そのちょっと前に Chambolle-Musigny 1er Cru "Les Amoureuses" 1990(長ったらしい名前だけれど、シャンボール=ミュジニィ1級の“恋人たち” 1990年)の抜栓をお願いしておいた。残念ながら Vogüé ではないけれど、以前にコンディションがよいことが確認されたので半ケース買っておいた Lou Dumont の Léa Séléction だ。

松茸のタリオリーニは、ちょっと和テイストな味付けがしてあり、松茸に出汁の旨みとオリーヴオイル、そして浅葱が絡み合って、何ともいえない複雑な香りを放っていた。シンプルな調理だけれど、松茸の香りが強く心を揺する。広いテーブルが松茸の香りで充満しているのが分かるくらい。

これと、まず SELOSSE は、もちろんマリアージュとしては成立したものだったけれど、割とあっさりした印象があった。一見、松茸のタリオリーニは淡泊なお料理に思えるので、SELOSSE が強すぎるのではないかと思ったのだけれど、実際にはバランスは悪くはなかった。旨みや熟成香が松茸の香りとマッチしていたと言える。しかし、どこかそっけない感じだ。1+1=2みたいな。

次に、Chambolle-Musigny 1er Cru "Les Amoureuses" 1990 を試した。これは想像以上の、まさに相乗効果があった。縁がオレンジ色がかり、濃いめのガーネット色となった Chambolle-Musigny は、グラスの中で、その年月にふさわしいシャンピニオンのような熟成香を放つとともに、まだ若々しい赤い果実の香りも同時にただよわせており、えもいわれぬ複雑な香りを巻き上げていた。口に含むとバランスのよい酸味と溶けたタンニンが骨格をしっかり作っており、なおかつ旨みがあとをひく。素晴らしい熟成状態、コンディションだった。ASO のソムリエも、心得ていて適温でサーブしてくれたのも良かったのだと思う。松茸の、シャンピニオン系の香りと、この Chambolle-Musigny の熟成香が抜群のマリアージュをしていたのは間違いないが、それ以上に、出汁系の旨みもまたマリアージュをしており、赤い果実の華やかさとあいまって、まさに真夏の夜の夢といった感じだった。ひさびさに、鳥肌が立つような経験をした。

さて、セコンド・ピアットは、仔羊のアーモンド焼きにサルシッチャを添えて、バジリコ風味のソースとともにいただいた。Chambolle-Musigny がしっかりした体躯と白こしょうのようなスパイシィな香りを持っていたので、もちろんこのお料理にも負けなかったけれど、さっきの松茸とのマリアージュの後では、普通にいただいた、、という感じだった。

さらに、フロマージュでエポワスなど4種類くらいをいただき、食後酒、デザート(マンゴーのプリンにエスプレッソの香りを加えたもの)、そしてエスプレッソなど、いつものように余韻を楽しんだ。

今までマリアージュというのは、お互いの長所を損なわないという原則で、どちらかというと減点法的に見ていたところもあったのだけれど、今回のようにもちろん減点はないばかりか、特別な組み合わせは「合う・合わない」といった単純な組み合わせだけでないことを知った思いだ。

その後、2,3度、再訪したのは言うまでもない。また次回、楽しみたいところだけれど、それは本当の秋がやってきてからになるだろう。


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