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旧東ドイツのワインを利く [ワイン]

今日は「古賀守ワイン会」の定例会があったので広尾のシェ・モルチェへ。

古賀守先生は、日本におけるドイツワインの普及に多大な貢献をした人物で、その功績は今も業界の人には伝えられている。その古賀先生を囲む会が元々あったのだけれど、古賀先生は残念ながら4年前に逝去された。しかし、その伝統を受け継ぐべく、今も毎月定例の勉強会が行われていて、僕も末席で参加をさせてもらっている。

今日のテーマは「旧東ドイツのワインを利く」。ソムリエ試験の受験の際、ドイツには13のベスティムター・アンバウゲビーテ(限定生産地区)があると習い、実際に多くのドイツワインを飲んできたけれど、実は旧東ドイツに属するワインは今日が初めてだった。

旧東ドイツに属する地区は、Sachsen(ザクセン)と Saale-Unstrut(ザーレ・ウンストルート)の2つ。この2つをメインとして、ゼクトから白、赤と様々な品種のブドウで作られたワインを楽しんできた。

さすがに北限に近い地域であるため、白ワインの色合いはグリや透明に近いレモンイエローで、赤ワインは薄いガーネット色に近い感じだった。しかし、どのワインもアルコール度数が11.0%~12.5%の辛口で、世間で思われるいわゆる甘いドイツワインとはまた違っていた(最近は、ドイツワインも、グローセスゲヴェックスなど辛口が主流になりつつある)。これは最近の傾向だ。

今日は、次のようなワインを楽しんだ。

1.2002er Schloss Proschwitz Elbling Sekt b.A. / Meissen, Sachsen
Weingut: Schloss Proschwitz
きめ細かな泡が持続しブリオッシュやイースト香があり、シャンパンのような香りがする。味わいは、まろやかで demi sec に近い味わい。ミネラルが豊富で、ハチミツのようなアフターがある。しかし、切れがよくさっぱりした印象もあり、興味深い。品種は Elbling。

2.2000er Bacharacher Kloster Fürstental Riesling Sekt Brut / Bacharach, Mittelrhein
Weingut: Ratzenberger
前回の「ゼクトの饗宴」で好評を博し、その後、ヴィノテークで紹介されたところからあっという間に市場から消えた幻のゼクト。※旧東ドイツではない。きめ細かな泡と、明るい黄金色、トーストのような香ばしい香りと青リンゴやかんきつ類の少し複雑な香り。口当たりはクリーミィで、やわらかい。余韻が長い。C/P が高い。

3.2006er Burguscheidunger Veitsgrube Weissburgunder Q.b.A. / Kirchscheheidungen, Saale-Unstrut
Weingut: Klaus Böhme
いわゆる Pinot Blanc。透明に近いグリ、レモンイエロー。青リンゴなどのさわやかな香り。少しフォクシーフレイバー。優しくエレガントな味わい。さらっとしているので夏向き。ミネラルが豊か。

4.2004er Dorndorfer Rappental Gutedel Q.b.A. Halbtrocken / Kirchscheheidungen, Saale-Unstrut
Weingut: Klaus Böhme
透明に近いグリ。ナッツや木樽のニュアンス。青リンゴ系のさわやかな香り。3と同じ生産者だが、こちらは品種が Gutedel で少し厚みがある印象。しっかりした味わい。余韻が長い。

5.2004er Schloss Wackerbarth Goldriesling Q.b.A. Trocken / Radebeul, Sachsen
Sächsisches Staatsweingut: Schloss Wackerbarth
まるでお城のようなオフィスと塔を持った大きな作り手。Goldriesling は、Riesling の交配品種ではなく、Sachsen 固有のブドウ品種。色は透明に近いグリ。金属的で硬質な香り。アプリケットや青リンゴ、レモン、ハチミツなど豊かでフローラルに近い香りもある。複雑。ミネラルがしっかりしている。切れがよく、さっぱりとしている。しかし余韻が長い。

6.2004er Schloss Proschwitz Goldriesling / Meissen, Sachsen
Weingut: Schloss Proschwitz
5と同じ Goldriesling で比較試飲のために用意された。こちらは、明るいレモンイエロー。木樽のニュアンス、ナッツ、かんきつ系の果実の香り、フローラルな香り。5より弱めで、エレガントな印象。酸がしっかりしており、余韻が長い。5と6は好みが分かれた。

7.2002er Schloss Proschwitz Morio-Muskat Q.b.A. Trocken / Meissen, Sachsen
Weingut: Schloss Proschwitz
Morio-Muskat は、マスカットとは違う品種。明るいレモンイエロー。レモン、ライチ、かんきつ類、マスカットのフルーティな香り。柔らかい味わいで余韻は長い。

8.2000er Pfortenser Köppelbelg Silvaner Spätlese / Bad Kösen, Saale-Unstrut
Weingut: Uwe Lützkendorf
ブドウ品種は Silvaner。明るい黄金色。今までの中で一番色が濃かった。熟した果実、ライチ、ハチミツの豊かな香り。アタックは柔らかいが、酸はしっかりしていて切れが良い。ミネラルも豊か。コルセ。余韻は長い。

9.2003er Karsdorfer Hohe Gräte Spätburgunder Q.b.A. / Bad Kösen, Saale-Unstrut
Weingut: Uwe Lützkendorf
いわゆる Pinot Noir。色合いは、オレンジ色がかった明るいガーネット色に近い。凝縮されたラズベリーやクランベリーの果実の香り。ジャムのような濃縮感があり、見た目と印象が異なる。黒糖やプラムのような黒い果実のニュアンスもある。アタックは柔らかく、酸はしっかりとしており、タンニンは溶けている。余韻が長い。人気があった。意外なワイン。

10.2004er Pinot Noir / Bühl-Kappeleindeck, Baden
Weingut: Duijn
9との比較のために Baden 産のワインがサーヴされた。濃いめのルビー色で、粘性が強い。ラズベリー、クランベリー、ブラックカラントなどの果実味が豊か。コーヒーのような香ばしさがある。柔らかいアタックと、酸とタンニンがしっかりとしておりバランスが良い。余韻が長い。タンニンの強さから、南の地方と判断できるが、ドイツとは分からない。

その後、Kräuter Likor(ハーブ・リキュール)などを食後にいただいた。これは琥珀色をした、ちょっとシャルトリューズを思わせるような味わいのリキュールで、個人的には好みの味。黒砂糖のかりんとうとともに。

旧東ドイツ地域のワインだけで、これだけの数を同時に味わえる機会は、そうそうないものと思われる。主宰者に感謝をしたい。

ちなみに、あわせてフルコースのディナーもふるまわれたのだけれど、スペースが足りなくなった(?)ので、メニューや写真は割愛させていただきます。実は、ドイツ語のワインの名前を書くのは大変で、そこで力が尽き・・最近、ドイツも、もっと簡素化しようと努力をしている模様だけれど。

毎回思うのは、ドイツワインの懐の深さというか、奥行き。我が家はフランスワインが主体だけれど、ドイツワインはその生産の手間や品質を考えると、過小評価されているように思えてならない。お料理との相性も良いし。とはいえ、僕もいっぱい買っているわけではないので、ひとのことは言えないのだけれど。

メンバーから、昔、ドイツに古賀先生と一緒に訪ねた話などを聞きつつ、古賀守先生は、つくづく偉大な方だったなと再確認した。いつものことながら大いに笑い、大いに楽しみ、大いに勉強をした。ドイツワインは、これからますます楽しみになりそうな予感がする。


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