結婚10周年記念日(前編) [雑記]
ちょうど10年前の1998年6月8日、僕とパートナーは結婚をした(入籍をした)。この日を選んだのは、2人が初めて出逢った日でもあったし、June Bride に対する憧れもあったかもしれない。
その日は、区役所に入籍届を提出し、その足でグランメゾンのアピシウスへディナーに出かけた。ジビエが好きな僕とパートナーは、この日本屈指のフレンチレストランを気に入っている。
当時アピシウスでは、フランス全土を旅行したときの知識を動員して、ソムリエと相談をしながら緊張をしてワイン選びをしたのを今でも覚えている。
そして、ディナーの最初の乾杯をして、彼女に力のあるダイヤモンドのエンゲージリングを送り、彼女からはロレックスの時計をプレゼントしてもらった。ロレックスはオーバーホールを定期的にして、いまも調子よく動いてくれる大切な宝物だ。一方、ダイヤモンドは、美しいだけでなく、今も彼女の心をしずめてくれる効用もある。
あれから10年。区切りの10周年になるわけだけれど、パートナーとは記念日はアピシウスに行こうとずいぶん前に決めていた。
お世話になっているA先生にお願いをして、アピシウスに予約を入れていただいた。A先生には、本当に大切なときに助けてもらっている。その後、情野シェフソムリエと僕が電話で話をして、正式に日時を決めた。残念なことに、8日は日曜日でアピシウスが休みなので、7日のディナーにしてもらった。
もっとも、Domaine Leroy の Richebourg 1998を結婚記念日にあけるという計画もあったので、8日は僕とパートナーがとても気に入っているレストランにそのワインを持ち込むことにした。スーシェフが我が家の好みを熟知しているので、メニューにない特別料理を作ってくれるお店だ。Richebourg とのマリアージュは、それはそれで楽しみだ。
こうしておおまかな段取りを取っておいたら、あっという間に6月になって、当日を迎えた。
ウェイティングバーで、情野ソムリエからアペリティフのシャンパンをプレゼントしていただいた。Louis Roederer の Brut Premier。華やかながら重厚感のあるシャンパン。内装を変えたらしく、以前と随分、雰囲気が変わっているのに気がついた。
その後、メイン・ダイニングへ。途中、ロダンの彫刻や、シャガールの "Les Amoureuses" という絵が迎えてくれて、僕らの席は元気だった頃のユトリロの絵の前になった。向かいには、壮大なアンドリュー・ワイエスの絵が見える。絵も、少し入れ替えをしているようだけれど、まさに美術館のレストランといった趣き。土曜日の午後7時だけれど、ほぼ満席だった。高齢のご家族や我々と同世代のカップルが多かった。平日とは、また違う客層だ。
テーブルには、蘭とエミール・ガレ風のランプが置かれていた。蘭も、オーナーの持っている蘭園で育てているとのこと。北海道に牧場を持っていて、そこで家畜を育てているのは知っていたけれど、テーブルの蘭までとは、さすがグランメゾン。
まずは、結婚10周年のフル・エタニティ・リングをパートナーに贈った。我ながら、ちょっと奮発しちゃったかな、、という感じだけれど、パートナーが10年前と同じく、とても喜んで気に入ってくれたのが嬉しかった。4つのCを満足のいく形で満たすリングは、なかなか見つからない。
お料理はアントレとメインというシンプルな構成にした。アントレは、2人とも10年前とおなじ定番の「雲丹とキャビアの野菜クリームムース コンソメゼリー固め」とし、パートナーは「ヴァンデ産ホロホロ鳥の胸肉のポワレ ミントが香るスパイス風味」、僕は「ヴァンデ産ミュラール種鴨胸肉のロースト、ポワレした春きのこ添え」にした。
情野ソムリエから、楽しみなワインリストをいただき、お料理と合わせてワインを吟味する。情野ソムリエは、何も言わなくてもブルゴーニュですね、と言ってくれた。まるで僕たちの好みが分かっているかのように。そこで、しっかりした骨格を持つ、Gevrey-Chambertin 村のワインを選ぶことにした。目にとまったのは Grand Cru の Chambertin または Chambertin Clos de Beze だったけれど、Domaine Armand Rousseau の Chambertin Clos de Beze 1991 をチョイスした。最初、一緒にリストされている 1995 か 1996 を選ぼうと思ったのだけれど、情野ソムリエが、オフ・ヴィンテージだけれど 1991 が今、とてもいい状態になっていると勧めてくれたので、それを選ぶことにした。
アントレに合わせて、ワインは、これも情野ソムリエのお勧めで、Olivier Leflaive の Meursault 1er Cru Poruzots をグラスでいただいた。Domaine Comtes des Lafon と違って、若いうちから芳醇な香りとしっかりしたバランスの良い味わいを楽しめる。さすがのチョイスだ。
お料理のサーヴィスは、礒﨑総支配人が行ってくださり、お料理の詳細や絵のこと、アピシウスにまつわる話について詳しく教えていただいた。これも、A先生のおかげだと思う。
プティ・フール、アントレとも美味しくいただき、Chambertin Clos de Beze を用意していただく。情野ソムリエの手際のよい動作がとても素敵に見えた。
Armand Rousseau の Chambertin Clos de Beze 1991 は、まさに熟成と若々しさが共存をした素晴らしい芳香を巻き上げており、バランスが良く、メインのお料理との相性はばっちりだった。ワインのコンディションが素晴らしい。
情野ソムリエと、ワインを保存する適正温度について話をして、長く熟成させるのなら 12度、早めに飲むのであれば 15 度という情報を得た。今まで、わが家のセラーおよびセラー室は、10度、12度、15度、20度に区分分けをして管理をしていたのだけれど、10度は低すぎるということが分かったので、帰ってから早速 12度に変更をした。
メインの後には、フロマージュのワゴンサーヴィス。これのために、ワインを温存していた。とても珍しいチーズが揃っていて、つい色々と頼んでしまった。トム・ド・シェーヴルなどのちょっと珍しいものから、エポワスなどの定番を含めて、6種類ほど。ワインが、ますます美味しく感じられた。
デザートには、パートナーが大好きなフォンダンショコラをいただくことにした。
そこで、サプライズが!!礒﨑総支配人が、そろりそろりと持ってきたのは、結婚記念のためのケーキ!10周年ということで、ろうそくが1本立っている。「願い事をして、一緒に吹いて消してください」とのこと。僕は、ある願いをした。このサプライズは、実はA先生が僕たちのために用意してくれたもの。本当に、夫婦共々いつもお世話になってばかりなのに、そのお心遣いが心から嬉しかった。
気がついたら、僕たちのテーブルが最後のお客さんになってしまっていた。23時。わが家は、会話が多くて食べるのがゆっくりなので、よくあるパターンだ。食後酒をウェイティングバーで、とも思ったけれど、遅いので、また今度に。情野ソムリエと礒﨑総支配人に見送っていただき、お礼を言って、アピシウスを後にした。とても素敵な時間だった。
アピシウスの後に、軽く飲んでいこう、ということで割と近い場所にある DAZZLE のバーを選んだ。歩いて数分。
パートナーが着物姿だったせいか、バーではカウンターやテーブルではなく、奥の個室に通された。「きっと、勘違いされているよね」と笑いながら、シャンデリアが輝き、ツインピークスのような深紅のベルベットのカーテンで囲まれた個室で、ゆったりする。
僕は、薔薇の花びらを使ったカクテル、その名も Ballard を選んだ。とても美しいカクテルだ。2杯ずつくらい飲んで、1時間ちょっと滞在した後、DAZZLE を後にした。
その日は、ちょうど近所にあるバーの2周年記念パーティが行われていると知っていたので、タクシーで直接向かった。そして、便乗して僕たちの結婚10周年も祝ってもらった。とても多くの人から祝福してもらい、またシャンパンやカクテルをプレゼントしてもらって、長く話し込んだ。気がついたら午前7時!まだ宴は続いていたけれど、次の日もあるので、この辺で切り上げた。
多くの人から祝福をされ、心遣いをいただいた、とても幸せな時間だった。A先生、ありがとうございます。そしてバーのKさんや大勢のみんなも、ありがとう。
夫婦2人の絆を確認するだけでなく、僕たちは多くの人々に支えられているのだな、というつながりも感じた一夜だった。
次の日は、また違う体験をした。
その日は、区役所に入籍届を提出し、その足でグランメゾンのアピシウスへディナーに出かけた。ジビエが好きな僕とパートナーは、この日本屈指のフレンチレストランを気に入っている。
当時アピシウスでは、フランス全土を旅行したときの知識を動員して、ソムリエと相談をしながら緊張をしてワイン選びをしたのを今でも覚えている。
そして、ディナーの最初の乾杯をして、彼女に力のあるダイヤモンドのエンゲージリングを送り、彼女からはロレックスの時計をプレゼントしてもらった。ロレックスはオーバーホールを定期的にして、いまも調子よく動いてくれる大切な宝物だ。一方、ダイヤモンドは、美しいだけでなく、今も彼女の心をしずめてくれる効用もある。
あれから10年。区切りの10周年になるわけだけれど、パートナーとは記念日はアピシウスに行こうとずいぶん前に決めていた。
お世話になっているA先生にお願いをして、アピシウスに予約を入れていただいた。A先生には、本当に大切なときに助けてもらっている。その後、情野シェフソムリエと僕が電話で話をして、正式に日時を決めた。残念なことに、8日は日曜日でアピシウスが休みなので、7日のディナーにしてもらった。
もっとも、Domaine Leroy の Richebourg 1998を結婚記念日にあけるという計画もあったので、8日は僕とパートナーがとても気に入っているレストランにそのワインを持ち込むことにした。スーシェフが我が家の好みを熟知しているので、メニューにない特別料理を作ってくれるお店だ。Richebourg とのマリアージュは、それはそれで楽しみだ。
こうしておおまかな段取りを取っておいたら、あっという間に6月になって、当日を迎えた。
ウェイティングバーで、情野ソムリエからアペリティフのシャンパンをプレゼントしていただいた。Louis Roederer の Brut Premier。華やかながら重厚感のあるシャンパン。内装を変えたらしく、以前と随分、雰囲気が変わっているのに気がついた。
その後、メイン・ダイニングへ。途中、ロダンの彫刻や、シャガールの "Les Amoureuses" という絵が迎えてくれて、僕らの席は元気だった頃のユトリロの絵の前になった。向かいには、壮大なアンドリュー・ワイエスの絵が見える。絵も、少し入れ替えをしているようだけれど、まさに美術館のレストランといった趣き。土曜日の午後7時だけれど、ほぼ満席だった。高齢のご家族や我々と同世代のカップルが多かった。平日とは、また違う客層だ。
テーブルには、蘭とエミール・ガレ風のランプが置かれていた。蘭も、オーナーの持っている蘭園で育てているとのこと。北海道に牧場を持っていて、そこで家畜を育てているのは知っていたけれど、テーブルの蘭までとは、さすがグランメゾン。
まずは、結婚10周年のフル・エタニティ・リングをパートナーに贈った。我ながら、ちょっと奮発しちゃったかな、、という感じだけれど、パートナーが10年前と同じく、とても喜んで気に入ってくれたのが嬉しかった。4つのCを満足のいく形で満たすリングは、なかなか見つからない。
お料理はアントレとメインというシンプルな構成にした。アントレは、2人とも10年前とおなじ定番の「雲丹とキャビアの野菜クリームムース コンソメゼリー固め」とし、パートナーは「ヴァンデ産ホロホロ鳥の胸肉のポワレ ミントが香るスパイス風味」、僕は「ヴァンデ産ミュラール種鴨胸肉のロースト、ポワレした春きのこ添え」にした。
情野ソムリエから、楽しみなワインリストをいただき、お料理と合わせてワインを吟味する。情野ソムリエは、何も言わなくてもブルゴーニュですね、と言ってくれた。まるで僕たちの好みが分かっているかのように。そこで、しっかりした骨格を持つ、Gevrey-Chambertin 村のワインを選ぶことにした。目にとまったのは Grand Cru の Chambertin または Chambertin Clos de Beze だったけれど、Domaine Armand Rousseau の Chambertin Clos de Beze 1991 をチョイスした。最初、一緒にリストされている 1995 か 1996 を選ぼうと思ったのだけれど、情野ソムリエが、オフ・ヴィンテージだけれど 1991 が今、とてもいい状態になっていると勧めてくれたので、それを選ぶことにした。
アントレに合わせて、ワインは、これも情野ソムリエのお勧めで、Olivier Leflaive の Meursault 1er Cru Poruzots をグラスでいただいた。Domaine Comtes des Lafon と違って、若いうちから芳醇な香りとしっかりしたバランスの良い味わいを楽しめる。さすがのチョイスだ。
お料理のサーヴィスは、礒﨑総支配人が行ってくださり、お料理の詳細や絵のこと、アピシウスにまつわる話について詳しく教えていただいた。これも、A先生のおかげだと思う。
プティ・フール、アントレとも美味しくいただき、Chambertin Clos de Beze を用意していただく。情野ソムリエの手際のよい動作がとても素敵に見えた。
Armand Rousseau の Chambertin Clos de Beze 1991 は、まさに熟成と若々しさが共存をした素晴らしい芳香を巻き上げており、バランスが良く、メインのお料理との相性はばっちりだった。ワインのコンディションが素晴らしい。
情野ソムリエと、ワインを保存する適正温度について話をして、長く熟成させるのなら 12度、早めに飲むのであれば 15 度という情報を得た。今まで、わが家のセラーおよびセラー室は、10度、12度、15度、20度に区分分けをして管理をしていたのだけれど、10度は低すぎるということが分かったので、帰ってから早速 12度に変更をした。
メインの後には、フロマージュのワゴンサーヴィス。これのために、ワインを温存していた。とても珍しいチーズが揃っていて、つい色々と頼んでしまった。トム・ド・シェーヴルなどのちょっと珍しいものから、エポワスなどの定番を含めて、6種類ほど。ワインが、ますます美味しく感じられた。
デザートには、パートナーが大好きなフォンダンショコラをいただくことにした。
そこで、サプライズが!!礒﨑総支配人が、そろりそろりと持ってきたのは、結婚記念のためのケーキ!10周年ということで、ろうそくが1本立っている。「願い事をして、一緒に吹いて消してください」とのこと。僕は、ある願いをした。このサプライズは、実はA先生が僕たちのために用意してくれたもの。本当に、夫婦共々いつもお世話になってばかりなのに、そのお心遣いが心から嬉しかった。
気がついたら、僕たちのテーブルが最後のお客さんになってしまっていた。23時。わが家は、会話が多くて食べるのがゆっくりなので、よくあるパターンだ。食後酒をウェイティングバーで、とも思ったけれど、遅いので、また今度に。情野ソムリエと礒﨑総支配人に見送っていただき、お礼を言って、アピシウスを後にした。とても素敵な時間だった。
アピシウスの後に、軽く飲んでいこう、ということで割と近い場所にある DAZZLE のバーを選んだ。歩いて数分。
パートナーが着物姿だったせいか、バーではカウンターやテーブルではなく、奥の個室に通された。「きっと、勘違いされているよね」と笑いながら、シャンデリアが輝き、ツインピークスのような深紅のベルベットのカーテンで囲まれた個室で、ゆったりする。
僕は、薔薇の花びらを使ったカクテル、その名も Ballard を選んだ。とても美しいカクテルだ。2杯ずつくらい飲んで、1時間ちょっと滞在した後、DAZZLE を後にした。
その日は、ちょうど近所にあるバーの2周年記念パーティが行われていると知っていたので、タクシーで直接向かった。そして、便乗して僕たちの結婚10周年も祝ってもらった。とても多くの人から祝福してもらい、またシャンパンやカクテルをプレゼントしてもらって、長く話し込んだ。気がついたら午前7時!まだ宴は続いていたけれど、次の日もあるので、この辺で切り上げた。
多くの人から祝福をされ、心遣いをいただいた、とても幸せな時間だった。A先生、ありがとうございます。そしてバーのKさんや大勢のみんなも、ありがとう。
夫婦2人の絆を確認するだけでなく、僕たちは多くの人々に支えられているのだな、というつながりも感じた一夜だった。
次の日は、また違う体験をした。
2008-06-15 18:39
nice!(1)
コメント(2)
結婚10周年おめでとうございます♪
おくればせながら、で失礼します。
1998年ヴィンテージの『サン・ロマン』も
おふたりのすてきな思い出のワインになりますように・・・
by fumiko (2008-06-22 08:39)
fumiko さん、おめでとうメッセージをありがとうございます!
fumiko さんのおかげで、とても素晴らしい結婚10周年を
祝うことができました。ありがとうございました。
『サン・ロマン』も、ブティーユ、マグナムともに記念の品です。
まずはブティーユを、何かの記念の時にあけたいと思います。
本当に、fumiko さんには何から何までお世話になり、
夫婦共々、感謝しています。
ふつつかな夫婦ですが、これからも温かく見守ってください。
今後とも、よろしくお願いいたします。
by YUTAKA (2008-08-15 16:39)