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キャンティの銘醸カステッロ・ディ・アマ(Castello di Ama)を訪問 [イタリア旅行記]

トスカーナのドライブほど楽しいものはないと、運転好きのパートナーがつぶやいた。この日は、キャンティ地方をドライブした。目的地は、テッラビアンンカ(Terrabianca)、そしてカステッロ・ディ・アマ(Castello di Ama)の2つのワイナリー。

Villa Scacciapensieri
宿泊した Villa Scacciapensieri

僕たちは、キャンティ、モンタルチーノ、モンテプルチアーノ、サンジミニャーノ、ボルゲリといったトスカーナの銘醸地をドライブするのに便利なように、シエナ郊外にある Villa Scacciapensieri へ宿泊をした。このホテルは、本当に素晴らしいのだけれど、それについては改めて。

 シエナの風景

ホテルの窓からのトスカーナの風景。この日も、快晴だった。

VOLVO S80 2.4D Kinetic VOLVO S80 のインパネ

VOLVO S80 2.4D Kinetic が、トスカーナドライブのお供。コモ湖をめぐった V70 よりもグレードを上げた。ラグジュアリーでありながらも、スポーツカーの S80。260km/h では走らないけれど。

さて、いざトスカーナへ出発!

トスカーナをドライブ

道路の両端には、一面ブドウ畑が広がる。空のブルーとブドウのグリーンが、ゆるやかなカーブでつながっている。

CHIANTI への道しるべ

シエナからキャンティは、割とすぐだ。今回の目的地である Castello di Ama は、Gaiole in Chianti 村にある。あらかじめ、ナビのGARMIN(ガーミン) に地点を登録しておいてから向かった。なので、安心だし楽ちんだ。

キャンティの農道を走る

ワイナリー(カンティーナ)は、普通、農園の中にあるので、最終的にはこのような農道を走ることになる。GARMIN がなければ、迷うところ。この先に、目的のカステッロ・ディ・アマが・・

カステッロ・ディ・アマ

カステッロ・ディ・アマは、高台の上にあってとても巨大だった。たくさんの建物があり、どこがメインオフィスか分からないくらい。

サンジョヴェーゼ

近くの畑では、サンジョヴェーゼが綺麗に完熟していた。

 カステッロ・ディ・アマのスタッフ

今日の参加者はドイツ人夫妻と我が家の4名。暖かく迎えてくれた。丁寧な説明とともに、2時間のワイナリーツアーのはじまり。

ちょうど収穫されたブドウの搬入が

ちょうど収穫されたブドウを搬入しているところだった。ブドウがつぶれないように、小さなケースに分けて運搬をしている。

選果台の作業

隣では、すぐに選果台でブドウの選別作業がはじまる。この作業自体で、ワインの味が変わるから大切な仕事だ。腐敗した果実や葉っぱ、未熟な果実などを選り分ける。

ステンレス発酵槽

最初の発酵を行うステンレス発酵槽。かなり巨大。何かの工場のようだ。

ステンレス発酵槽の温度管理

各タンクはコンピュータにより温度管理がなされている。発酵時の温度管理はとても重要だ。カステッロ・ディ・アマのキャンティ・クラシコは、この時点では 22~23度前後で管理されていた。(最終的には、33度前後になったようだ)

カーヴにあるバリック

最初の発酵が終わったら、バリック(木樽)で熟成される。このワイナリーには、後でも登場するけれど、かなりの数のバリックがある。

ガラスのアート

カーヴの中で、ワイングラスをモチーフにしたアート作品のシャンデリアが。1年に1人の芸術家を招いて、数週間から数ヶ月アマに滞在してもらい、その体験をもとに作品を作ってもらっているとのこと。なので、アマの各所にはアート作品があふれている。さながら美術館だ。

カーヴにあるバリック

より上級キュヴェのベッラヴィスタやカズッチャのバリックたち。

さて、ここで再び地上に出る。トスカーナの太陽のもとへ。

 オリーブの畑

アマではオリーブオイルも生産しているので、ところどころでオリーブの木を見かける。

敷地内にある教会

カソリックの国らしく、ワイナリー内に2つの教会があった。

キャンティ・クラシコの畑の眺め

キャンティのブドウ園の眺め。サンジョヴェーゼやカナイオーロ、マルヴァジーア、そしてメルローなどもある。このキャンティ・クラシコの地質の特長は、ガレストロ(Galestro)と呼ばれる、堆積土壌で石灰質を多く含んだ石や岩、そして粘土壌だという。この石と粘土が混在して、よい畑が生まれるのだという。それがワインのミネラル感につながっていくらしい。確かに、いたるところ石がゴロゴロしていた。

ラッパリータのバリック

最上級キュヴェとも言える、ラッパリータ(L’APPARITA)のカーヴ。どのカーヴも、清潔で慎重に管理されている。ラッパリータは、ポムロールから持ってきたメルローで作られているらしい。とても高い評価のワインで、スーパータスカンのひとつだ。僕もエノテカでテイスティングをしたことがある。

REVOLUTION!

アーティストが作った作品がカーヴにもある。これは REVOLUTION を逆さまにしたネオン。ひんやりとした石壁とバリックに、真っ赤な REVOLUTION が光る。ラッパリータは、このようなところで熟成がされる。

敷地内は広い

敷地内はとても広く、歩いても歩いても、色々な施設がある。

これも芸術作品

これも芸術家の作品。本来1つであるはずの世界が、色々な壁で分断されてしまっている。でも、自然(ブドウ)に壁はない。

鏡の向こうに畑が見える

鏡の向こうに、キャンティのブドウ園が見える芸術作品。

さて、メインビルディングへ。

 メインビルディング 

美術館のように歩き回って、ようやくテイスティングタイム!

テイスティング開始前の説明

CASTELLO DI AMA CHIANTI CLASSICO 2006。これは、栽培家でありエノロゴ(醸造家)の Marco Pallanti (マルコ・パランティ)氏の在任25周年に作られた特別な1本。ボトルには “AMA 25” と彫り込まれ、エチケットにも “Grazie Marco...” とメッセージが書き添えられている。キャップシールも特別にシルバーだ。

かつてキャンティが安くて早飲みのワインと言われていた時代に、マルコ・パランティ氏は、「熟成するキャンティ・クラシコを作る」という目標を立てた。そのためブルゴーニュと同じように、畑をクリュと呼ばれる区分に分け、それぞれに最適な方法で栽培と醸造を行い、また収量制限も行って「スッパイ」という汚名を挽回させようとしたという。

この努力によって、サンジョヴェーゼが本来持っているしっかりした果実味とタンニンが生まれ、キャンティ・クラシコの品質は格段に向上した。これは大いに他の生産者も刺激して、キャンティ・クラシコの評判を高めることになったという。

ところがパランティ氏は、クリュごとに発売をしていたキャンティ・クラシコを、再びブレンドすることにした。ブドウの樹が古木になり品質があがってきていることと、ブレンドすることで常に安定した最上のワインを作る考え方に転換をしたというのが理由。それが今の「カステッロ・ディ・アマ キャンティ・クラシコ」。ちょっと、アンジェロ・ガイヤ氏のバルバレスコのエピソードを思い出す。

しかし現在でも、ブドウの出来の良い年には、Vigneto Bellavista(ベッラヴィスタ)と Vigneto La Casuccia(カズッチャ)のクリュのキャンティ・クラシコが作られることがある。

その功績を認められて、パランティ氏は現在、キャンティ・クラシコ協会の会長も務めているそうだ。

詳しくは、こちらに記事がある。

Marco Pallanti’s “Silver Anniversary” with Castello di Ama
http://www.castellodiama.com/english/pressrelease.php?id=359

CASTELLO DI AMA 2006

パランティ氏のカステッロ・ディ・アマのワインは、とても骨格のしっかりしたキャンティ・クラシコ。実は、昨日の青木冨美子先生のオープンカレッジでも、このワインが登場してびっくりした。

でも、チャーミングな果実味と味わいの深みとバランスの良さ、サンジョヴェーゼらしい飲みやすさと酸とタンニンによる構造のしっかりした所、ミネラル、品の良さなど、このワインは一発で分かった。ただセパージュは、サンジョヴェーゼ以外に、メルロやカナイオーロ、マルヴァジア・ネーラが混醸されているのかもしれない(以下のテクニカルノート参照)。

Castello di Ama 2006
http://www.castellodiama.com/english/castellodiama.php?anno=2006

「キャンティはスッパイ」という先入観を持っているあなた。ぜひ、このカステッロ・ディ・アマを試してみてほしい。お金の余裕のある方は、「カズッチャ」や「ラッパリータ」も!エノテカで売っています。

Grazie Marco 
CHIANTI CLASSICO 2006 の Grazie Marco

 


Castello di Ama スライドショー

 


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コメント 6

YUTAKA

artfuldodgerさん、nice!をありがとうございます。

カステッロ・ディ・アマのキャンティ・クラシコは、
お勧めです。あと、カステッロ・ディ・フォンテルートリや
フェルシナなんかも、僕のお気に入りです。

ぜひ、キャンティ・クラシコを楽しんでください。
by YUTAKA (2010-02-11 22:55) 

hako

詳細レポート、凄いです。イタリアは、さすがアートの国ですね。
レポートも、アーティスティックで、いい画です。
第2回講座の、5番のワインとホントに同じですね、日本にいて
味わえるとは、非常にラッキーでした。レポートを読む、興味の度合いも
全然違いました。ありがとうございました。
by hako (2010-02-12 07:38) 

YUTAKA

hako さん、nice!&コメントをありがとうございます。

たまたま写真があったので、タイムリーな記事が書けて
よかったと思います。hako さんに画をほめていただくとは
光栄です。イタリア(素材)の良さだと思います。

記事には書かなかったのですが、カステッロ・ディ・アマの
ツアーは無料です。しかも、ワイナリーでワインを売って
いなくて、近所の酒屋を紹介してくれます。なので完全に
ボランティアなのですが、そこにこのワイナリーのこだわりを
感じるものがあります。

一緒に参加したドイツ人夫妻の奥様が、終わりの方になって
「このツアーは、おいくらくらいかかるのでしょう?」と
心配になってパートナーに聞いていました(笑)。

今回、4つのワイナリーをまわったのですが、それぞれに
特徴があって面白かったです。
by YUTAKA (2010-02-12 08:50) 

kowa

まさに勉強したてのところを素晴らしい映像でみせていただくと、さらに興味が深まりますね。
本当にhakoさんのご指摘とおり、どの写真も素晴らしいです。
どれだけ楽しい旅行だったのか。。。
それにしても旅行で飲んだワインだとわかったとはさすがですね。

by kowa (2010-02-14 16:39) 

YUTAKA

kowaさん、nice!&コメントをありがとうございます。

青木先生の采配にはビックリですね!
写真もほめていただき、光栄です。

旅行ネタは、まだまだありますね~(笑)
ワインに絡んだ話もいっぱいあるので、また
時々、こちらに書きますね。

> それにしても旅行で飲んだワインだとわかったとはさすがですね。

本当は、まぐれです(笑)
by YUTAKA (2010-02-15 21:46) 

YUTAKA

JBOYさん、nice!をありがとうございました。
by YUTAKA (2010-02-21 20:55) 

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