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極上の牛フィレを味わう@フィレンツェのイエロー(YELLOW BAR) [イタリア旅行記]

ロングバケーション

山口智子と木村拓也の傑作ドラマ、「ロングバケーション」の再放送を見た。改めて僕が書く必要はないと思うので割愛するけれど、1996年3月14日に、パートナーと僕にとって、このドラマとの出会いがあった。

傷心のパートナーを、この日に連れて行ったのは、東京ドーム。マライヤキャリーの “Daydream Tour”。ドームではあるけれど、アリーナの中央、前から4列目で僕たちは歌姫のライブを満喫した。そのまばゆいまでの輝きを放つ彼女のダイヤモンドを見つめながら。その時、3列手前(最前列)に、山口智子と木村拓哉、瀬戸朝香が来場していることを知った。ライブでは、大スクリーンに彼らの映像が流されて場内は騒然となったようだ。そう、山口智子と木村拓哉は、ドラマ「ロングバケーション」のプロモーションも兼ねて、このライブを聴きに来ていたのだった。帰り際にすれ違ったのを覚えている。

あれから10年以上経過して、僕は今回、初めてこのドラマを見たのだけれど、このミナミちゃんってパートナーにそっくりだなと感じた。男っぽくて女っぽいというか・・・損をしちゃうタイプというか。それはともかく、竹野内豊が出ているのを見て、僕はフィレンツェのことを思い出した。

雨のフィレンツェ・シニョリーア広場
雨のフィレンツェ・シニョリーア広場

前日、喧噪のフィレンツェのとあるワインバーでパートナーと大げんかをして、彼女とは夜連絡が取れなくなってしまった。僕も彼女も、フィレンツェの雑踏にはうんざりしていた。結局、3時間後に彼女と深夜のウフィツィ美術館の前で再会をしたのだけれど、それまでの間、彼女はとあるバールへ行って、ワインを飲みながらマスターと語り合っていたらしい。僕の悪口とかね(笑)。イタリア語と英語のまざりあったコミュニケーション。マスターのフランチェスコはイタリア語しか分からないらしい。だけれど、彼女の言いたいことは分かったようだ。そして、パートナーはいかにフィレンツェの「ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ」がひどいかについて話をしたらしいのだけれど、フィレンツェ生まれのフランチェスコは、それは本当のビステッカではない、観光客相手の商売だ。この店に行ってみたらいい、とあるお店を勧めてくれた。

それが、”YELLOW” だった。ガイドブックにも載っていないお店。フランチェスコが地図につけてくれた印だけを頼りに、翌日行ってみることにした。

フィレンツェのイエロー(YELLOW)
フィレンツェのイエロー(YELLOW)

YELLOW なんて英語だし、変な名前だなと思った。早めの時間だったので、まだ席に空きがあったのだけれど、通されたのは日本人女性2人組との相席だった。なんで?しかも日本語メニューまである!この時点で、パートナーは帰ろうと思ったらしい。でも、僕はフランチェスコを信用することにした。聞けば、昨日イタリアに着いたばかりの女性組で、今日はフィレンツェ、明日はナポリと忙しい旅行をしているようだった。だけれどとても気さくに、お互いの話をした。海外では日本人同士は会話を避ける傾向があるように思うけれど、そんな雰囲気は全くなかった。

そして、このYELLOWが、映画『冷静と情熱のあいだ』の撮影中、竹ノ内豊が通い詰めたレストランだと教えてもらった。「この席に座ったのかもね」なんて話をしながら、ふーんと思った。

ところが、僕たちが到着して間もなく、あっという間に店内は満席になったのだ。

フィレンツェのイエロー(YELLOW)の店内
YELLOW の店内の様子

雨だというのに、またたく間に行列ができて、そのうち、新しく来たカップルやグループはスタッフから入店を断られていた。見れば、地元大学生と思わしき合コンのグループまでいる。地元人御用達なのだろうか?

カジュアルなYELLOWの店内
カジュアルなYELLOWの店内は満席

気を取り直して、メニューを見ることにした。

YELLOWのポップな紙のランチョンマット
YELLOWのポップな紙のランチョンマット

ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナは、1kg で 39 ユーロと書いてある。1kg!?あまりに多すぎるよね、と話をした。せめて 500g にして欲しい。そうカメリエーレにも交渉をしたのだけれど、とにかく 1kg 以上でないと注文を受けられず、また 1kg ぴったりにはならないので秤の目方で金額が変わるという話だった。前日、19世紀からあるカフェレストランで食べたものがひどかったので、もうこりごりと思っていたので、1kg は断念することにした。その代わりにお勧めは?

「牛フィレ肉のメダイヨン・ローズマリー風味」
(メダイヨン・ディ・フォオレット・アル・ローズマリーノ)

このステーキは 300g らしく、それでも多いよね、と。でも選びようもなく、オーダーした。

ワインは、コストパフォーマンスに優れるトスカーナの DOCG ヴィノ・ノビレ・ディ・モンテプルチアーノ 2004 にした。

ワインのサーヴィス ヴィノ・ノビレ・ディ・モンテプルチアーノ2004
TorCalvano の Vino Nobile di Montepulciano Riserva 2004

ホストテイスティングで若すぎると思われたので、デキャンタージュをしてもらった。こんなカジュアルなレストランでも、ちゃんとデキャンタージュができる、そう失礼ながら思った。TorCalvano の Vino Nobile di Montepulciano Riserva 2004 は、とても深いルビー色で、赤いチェリーやプラムの果実味が豊かでスパイシィ。酸とタンニンがしっかりしたフルボディの赤。24ユーロだったけれど、これはコストパフォーマンスがいいし、きっとステーキにも合うだろう。

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2色タリアテッレのハムとキノコのクリームあえ(PAGLIA E FIENO)

プリモピアットは、mezzo e mezzo、つまり2人で1皿でこの手打ちパスタをオーダーした。意外と美味しい!というか、フィレンツェに来て初めて美味しいものに出会えたかも、、と思った(昔のことは忘れた)。ワインも進むし、パートナーと僕は、あっという間にこのお皿をたいらげてしまった。しっかりと腰のある、旨みにあふれたパスタだった。これは次が期待できる。

そしてやってきたのは、、、

牛フィレのメダイヨン!
牛フィレ肉のメダイヨン・ローズマリー風味(MEDAGLIONI DI FILETTO AL ROSMARINO)

写真では分かりづらいかもしれないけれど、300g ある。これをパートナーと取り分けて食べた。

旨い!!!!!!!味付けは、本当にシンプルなはずなのに、肉の旨みというか、深みというか、赤身なのに、和牛とは違う深い味わいは衝撃的だった。噛めば噛むほど味がしみ出してくる味わい深い肉にはパートナーも僕も感動した。前日のカフェとは違って、「レアなのにかみ切れない」ということもなく、程よい肉質。焼き加減が素晴らしい。この肉を食べただけでも、フィレンツェに来て良かったと思えたくらいだ。

当然のことながら、300g はあっという間にパートナーと僕の胃袋におさまってしまった。そして、「物足りない」とお互いに思ったのだった。こんなことなら、「ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ」でも良かったのではないか、と。

YELLOW は、日本の観光ガイドでは「ピザが美味しい」と書かれているけれど、僕はそれは表面的なことではないかと思う。やはり、YELLOW に行ったら、牛フィレ。ピザなんてどこでも食べられるけれど、これほど美味しい牛は、なかなかない。フィレンツェに行ったら、ぜひ、YELLOW で牛のうまさを体験して欲しい。フランチェスコも太鼓判のはずだ。

前日のお礼にと思い、パートナーとフランチェスコのバール(パートナーは名前すら覚えていなかった)RUM E PERE へ行った。

フランチェスコのバール RUM E PERE
フランチェスコのバール RUM E PERE

どんなバーなのだろうと思ったら、本当に質素な感じのバールだった。パートナーは前日も、ここでミネラルウォーターを大量買いしていたのだけれど、確かに安い。ワインも安い。地元と思わしきお客さんがひっきりなしにやってきて、ミネラルウォーターを買っていく。

それはともかく、お礼を言いつつトスカーナ・ワインとお勧めのグラッパをいただいた。でも、フランチェスコは、パートナーによれば昨日とは違ってよそよそしい感じだったそうだ。「なんだ結局、男のもとにかえったんじゃん」と思ったのかもしれない。フランチェスコもイタリア男だ。

その時、ちょうどローマ対フィレンツェのサッカーの試合をやっていて、フランチェスコは画面に釘付けだった。

サッカー観戦に興じるフランチェスコ 
壁掛けテレビでサッカー観戦に興じるフランチェスコは、上の空。入れ墨も “F”

そして、フィレンツェが負けるのが決まったと思った瞬間に、テレビを消した。

エスプレッソ
やっぱり最後はエスプレッソで

フィレンツェには3日間いたのだけれど、やはりこの夜のことは特別だったかもしれない。またフィレンツェに行くことがあったら、ぜひとも YELLOW を再訪したいと思う。フランチェスコのバールも歩いて数分だ。


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YELLOW
Via del Proconsolo,39-red,50122 Firenze
TEL:055-211766


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hako

いい話ですね。
スナップの画があって、臨場感が有ります。
by hako (2010-01-31 21:39) 

YUTAKA

むねきちさん、クリックをありがとうございます。

僕も twitter でつぶやいて、ちょっと書いてみようかなと思ったのですが
やっぱり危険なのでやめておきます(笑)

hako さん、チェック&コメントをありがとうございます。

イタリアは何を撮影しても絵になりますね。CX1、大活躍でした!
まだまだ、全体の 1/50 くらいなので、年内に完結することを目標に
ボチボチ書いていきたいと思います。いつも応援、ありがとうございます。
by YUTAKA (2010-01-31 22:13) 

viviane

お元気ですか?
フィレンツエ記事を作る際、検索していて同じソネブロさんを見付けました
イエローバー、お料理はイマイチ・・・でした
ワインは美味しかったです♪
by viviane (2017-05-13 22:20) 

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