和食に合う白ワイン講座 [オープンカレッジ]
青木冨美子先生の、昭和女子大学オープンカレッジ「世界のワイン比較探求講座」の今期最終回のテーマは、「和食に合う白ワイン」だった。
第1フライト(シャブリ1級対決)
新樽をきかせたシャブリ(右)と、そうでないシャブリ(左)の1級対決。樽のきかせかたによる味わいの違いも面白かったけれど、やはりテロワールというか、左の Fourchaume と、右の Monte de Tonnerre の樽以外の味わいの差の方が、僕としては興味深かった。どちらもミネラルのかたまり!という感じなのだけれど、Monte de Tonnerre の繊細でありながら力強い味わいが印象的。
第2フライト(和食に合う世界の白ワイン)
ノーヒントの Gruner Veltriner 以外は分かったかもしれない。他の講座生もバシバシ当てていて、すごいと思った。みなさんコメントも的確で、講座の成果を感じた回だったかもしれない。
3番目の Sauvignon Blanc、つまり LUCIEN CROCHET の Sancerre に感じられたフリージアのような華やかさが印象的だった。猫の・・の香りは、実は、我が家では僕が猫のトイレ掃除担当なので、敏感に察知してしまいましたが(笑)。ただ、本当にかすかなので、余程注意深く香りを取らないと、気がつかないと思う。エレガントな S.B.。今度、AOC Menetou-Salon の白と比べてみたい。
そして6番目の Semillon、Chateau le Puy “Marie-Cecile” 2002 は、個人的にはすごかったと思う。色調が琥珀色に近いことはともかく、ヒノキや断ち切った杉の木のような香りや、熟した黄桃、フレッシュないちじく、ザクロのような香りに、紅茶やハチミツ、そしてかすかな熟成香も感じられた。酸は柔らかめでまろやかな味わいで、エレガント。以前飲んだことのある Chateau Laville Haut-Brion 1998 を若干彷彿とさせるようなところもあり、ちょっとびっくりした。ほめすぎ?ただ、余韻が短めに感じたので、その辺は価格差なのかもしれないけれど・・AOC BORDEAUX ではなくて、Vin de Table とエチケットに書いてあった。辛口の Semillon はおもしろい。
今回は和食とのマリアージュということもあり、先生お勧めの薄口醤油と、伊勢から持ち帰られたばかりの新鮮なアワビ、モッツァレラとアボカドもいただくことができた。
もちろん、どのワインとも相性は抜群。モッツァレラとアボカドの組み合わせがとても気に入ったので、家でも試してみた。
第3フライト(デザートワイン)
これは番外編の、Pedro Ximenez(PX)。甘口のシェリーといえば分かりやすいかも。まさに見た目通りに「黒蜜」が全開で、これにヴァニラアイスクリームがあったら、、、と思っていたら、さすが先生、用意してくれていました!
というわけで、全部で9種類の白ワイン&酒精強化ワインを楽しんだのだけれど、最初の写真にある量を、いつものごとく、全部飲み干したので、かなりいい具合に酔っぱらってしまった。家に帰ったら、パートナーから「酒臭ーーい」と言われたのは、秘密です。
とても慎重に選ばれ、かつ採算度外視とも思えるワインたちに、青木先生の心遣いを感じました。
最後に、2007年のビオディナミ大会でお会いした Geyerhof の Ilse Maier(イゼル・マイヤー)夫人の写真を貼って終わりにします。もちろんお隣には、お姉様で Nikolaihof の Christine Saahs(サース)夫人がいらっしゃいましたよ。
Geyerhof の Ilse Maier 夫人。2007年のビオディナミ大会にて
なお、青木先生による丁寧なレポートは、以下にあるので、参考にしてください。
“和食に合う”をテーマにした品種別講座
http://non-solo-vino.blog.so-net.ne.jp/2010-03-13
広島風お好み焼きとワイン(KAIKEN/アルゼンチンのマルベック) [料理]
エノテカ二子玉川店で、お好み焼きとワインの話をしていたら、ソムリエさんが、合わせるワインは KAIKEN(カイケン)のMALBEC(マルベック)がぴったりですよ、と教えてくれた。アルゼンチンのワイン。大阪風よりも広島風の方がいいですよ、とも。
ちょうど楽しいワイン教室(基礎編・ニューワールド特集)の時に、同じワインが出て美味しかったので、「じゃ、今晩はお好み焼きとワインで行きますか」、と生徒の間で盛り上がって買って帰った。
早速、以下のレシピを参考に、広島風お好み焼きに挑戦した。
大阪風とはまた違ったうまさ「広島風お好み焼き」
http://www.ajiwai.com/otoko/make/hirosima.htm
広島風は大阪風と違って、使うキャベツの量が多く、もやしやソバも使うのだけれど、生地を作ること自体は、大阪風のような難しさはないように感じた。むしろ、ふっくらとした焼き方が勝負なのかもしれない。なので、温度設定と時間に気をつけた。
意外と、テーブルがいっぱいになります(笑)。
温度設定は、大阪風の時は230℃にしたけれど、今回は180℃~200℃にした。これは、キャベツやもやしの量が多いので、まんべんなく火を通すためと、シャキシャキ感を残すため。
まずは、生地をクレープのように引き伸ばす作業から。
次に、キャベツともやしを豪快に乗せる!かなりこんもりした感じになる。
さらに、豚バラ肉を乗せる。
生地がいい具合に焼けてきたところで、全体をひっくり返して、隣りで焼きそばを焼く。
焼きそばの上にお好み焼きを乗っけて、今度は、その隣りで卵をつぶしながら半熟状に焼く。
卵の上に、お好み焼きを乗せて、だいたい出来上がり!
全体をひっくり返し、鰹節をふんだんにかけて、青のりをかけて、ソースを。ソースは、塗らない。今回は、おたふくではなくて、手持ちのイカリソースとどろソースを使って、ちょっとピリ辛に仕上げた(ピリ辛が好みなのです)。
最後に4つにカットして、完成!
シャキシャキとしたキャベツやもやしの食感が楽しく、ソバもいい感じ。前回の、大阪風に作ったモダン焼き(のようなもの)とは、全く別物だと感じた。美味しい!野菜が多く、炭水化物もソバが主流なので、意外とヘルシーなのではと思う。同じお好み焼きでも、手順も違えば、味も全然違うということを知った。美味しいし、ヘルシーなので、またチャレンジしてみたい。
さて、これに合わせるワインは、前述の、KAIKENのマルベック2007。チリの名手、モンテスS.A.がアルゼンチンで作るワインだ。
外観は、濃いルビー色で紫色がかっている。粘性が強い。香りは、カシスやプラム、ダークチェリーが凝縮しており、少し赤い果実の香りも入っている。チョコレートやヴァニラ。ジビエのニュアンスも感じる。スパイシィで、蜂蜜のような感じもあり甘辛い印象。味わいは、柔らかいアタックに、酸も柔らかめ。タンニンがしっかりしておりきめ細かい。余韻は8~9秒と長め。重すぎず、バランスが良い。
黒い果実味がたっぷりだけれど、ちょっとスパイシィなところが、甘辛のイメージで、広島風お好み焼きと合っているように思った。さらに、タンニンもしっかりしているので、食べ飽きない。丁寧に作られていると感じる。
奇遇なことに、前回、大阪風お好み焼きの時に楽しんだワインは、アラン・ブリュモンが作るシャトー・ブスカッセだった。これはフランス南西地方マディランのワインで、タナ 65%、C.S. 25%、C.F. 10%というセパージュ。その近くには、カオールという、黒ワインで有名な産地があり、ここではマルベック(コー、コット)が使われている。タナとマルベックは似ているようでいて、ちょっと違うのだけれど、その違いを文章に出来るほど僕のテイスティング力がないのが残念。
となると、その近くのボルドーも意外といけるのではないかと思うけれど、やっぱりお好み焼きには、アルゼンチンのマルベックのような親しみやすいワインが合うのではないかなと感じた。
KAIKEN MALBEC 2007 は、1本2,100円(税込み)。もちろん、エノテカにあります。これなら、気軽に試せますね。ソムリエIさん、ありがとう!お勧めです。
エノテカ二子玉川店の楽しいワイン教室♪ [ワイン]
エノテカ二子玉川店が2001年初夏に出来てから、もう9年近い付き合いになる。初めて行った時は、ショップの使い方を何も知らず、「ギガルはありますか?」と質問をしていたことを覚えている(笑)。
ショップとしてかなりアイテムが充実しているのだけれど、僕にとってこのエノテカ二子玉川店(エノテカ玉川高島屋SC店)が大きな意味を持っていたのは、その魅力的なワイン教室だった。
ジャンシス・ロビンソン女史の記事でも書いたとおり、僕は書籍やメディアを通してワインの勉強をしてきた。とても知的好奇心が満たされるものではあったけれど、ネットなどで購入するワインは、10年前は情報量が少なかったこともあり当たり外れが多かったように記憶している。また、自分がどのようなワインが好きなのか、よく分からなかった。頭でっかちだったと思う。
しばらく経ってから、このエノテカ二子玉川店のバースペースで定期的にワイン教室が開かれていることを知った。ワインの味わい方について素人の僕だったのだけれど、この教室に行けば、実地に即しワインの味わいを知ることができるかもしれない。そう思い、特に5~6年前に集中的に通った。多いときで毎週。何しろ、会費は1回3,000円~4,000円で気軽だし、2時間をかけて(オーバーすることも多かった)、スタッフ渾身のお薦めワインたちを、心ゆくまで堪能し、そのバックグラウンドとなる基礎知識の講義と合わせて、ワイワイと楽しめるのが素晴らしかった。そして僕の、ワイン友達ができた最初の瞬間でもあった。
ワインは、皆さんもご存じの通り、名前やラベルだけのブランド品ではない。歴史、地理、文化、人間、自然、料理、作法、味わい方、そしておもてなしの心など、様々な要素がつまっている人類の生み出した素晴らしい飲み物だと思う。そういう意味では、僕にとって、エノテカ二子玉川店は、単なるショップではなく「文化の発信地」としての位置づけがあった。
まずは基礎教室に通い、ステップアップ教室に通い、ワインサロンに通い、週末テイスティングに通い、そして行く教室がなくなってしまったかなと思っていた頃に、ソムリエ呼称資格受験対策講座がはじまった。2005年の話。当時、エノテカにはワインアドバイザーとソムリエの2人がいて、彼らが交代しながら講義をしてくれた。会費は1回3,150円(当時)と、格安だった。ワインエキスパートの資格を取るつもりはなかったのだけれど、より深くワインを知りたいと思い、月に2回のこの講座に通った。毎回、教本の要点を教えてもらい、美味しいワインでテイスティング。最終的な受講生は6人になったけれど、その6人の全員がワインエキスパートに合格をした。僕のワイン人生にとっても、転機となる出来事だったと思う。当時の山本ワインアドバイザー(店長)と、安藤ソムリエには、いくら感謝しても感謝しきれない。
その後は、エノテカのバースペースを利用して、「エキスパートの会」を毎月開催して、様々なテーマでワインの研究を行ってきた。そう、バースペースは、ワイン教室や、テイスティングやバー利用だけでなく、ワイン会も開けるような多目的な場所だ。
そんなワイン教室が、今も続いている。会費は1回3,675円。単発での受講もできるので、忙しい人でも大丈夫。
僕もしばらくの間、仕事が忙しかったこともありご無沙汰をしてしまっていたのだけれど、最近、また通い始めた。とても親切で優秀な先生の元、週末の午後に行われている。
Domaine DROUHIN-LAROZE の BONNES MARES 2006。深みのある素晴らしいワイン。時に、リーデルのブルゴーニュグラスを出して、このようなテイスティングが行われることもある。
人数にもよるけれど、だいたい、毎回4~6種類くらいのワインがサーヴィスされる。
教室と言っても堅苦しいモノではなく、初心者から上級者まで幅広く対応している点が素晴らしいと思う。そして、出てくるワインが、すべて美味しい。きっと、先生は、何を出そうか予算の範囲内で一所懸命がんばって選んでくれたのだろうな、と思うと、その気持ちが嬉しい。
先週のブルゴーニュのコート・ド・ボーヌ(ブルゴーニュ)の教室では、自然環境や畑についての概要を聞いた後に、北から、ALOXE-CORTON 2007、Volnay 1er Cru Les Pitures 2006、とエレガントな赤をいただいた後に、白眉である Chassagne-Montrachet 1er Cru Abbaye de Morgeot 2006、Merusault-Charmes 1er Cru 2004 をいただいた。「難しいことよりも、楽しみましょう」と先生が言っていたのだけれど、単なる飲み会との違いは、きちんと評価をして、テイスティングノートもつける(人によるけれど(笑))ところだと思う。先生による香りの表現も的確で、とても勉強になる。でも、「ウルルン滞在記」みたいな旅行話もでて、おもしろい。
今回の中でのお気に入りは、マトロのムルソー・シャルムが好きな男性組と、オリヴィエ・ルフレーヴのシャサーニュ=モンラッシェ1級アベイエ・デ・モルジョが好きな女性組に分かれたように思う。僕の好みは、ルフレーヴのシャサーニュだった。
2006 Chassagne-Montrachet 1er Cru Abbaye de Morgeot Olivier Leflaive
これだけテイスティングノートを引っ張り出してきてみると、、、
外観は緑色がかった明るいレモンイエロー、輝きがあり透明。若々しい。粘性が強い。香りは、ヴァニラや木樽のニュアンス、クリスピーな印象、アーモンドやナッツ、かんきつ類、白桃の果実味がエレガント。ミネラルや石灰、磯の香りも少しある。味わいは、酸はしっかり目でふくよかで、がっしりとしたミネラルが豊か、余韻が10秒以上と長い。全体に、力強さを感じる。ミネラルがしっかりとしており、果実味と酸のバランスもよく、リッチで味わい深いシャサーニュ・モンラッシェ。美味しい。
たぶん、講座がこんなに破格なのは、講義がボランティアベースだからではないかと思う。売価のワイン代を生徒が折半しているようなものだから、とても安く受講できるのは有り難い。
さてワイン教室ではなく、ここはショップでもあるから、教室の後にワインを買うことができる。今なら、受講生は教室のある日は全品5%OFFで買えるので、とてもお得だ。参加しない手はない。こんなにお得でいいのだろうか、大丈夫だろうか、と思ってしまうくらい。
その日に供出されたワインをその場で買うこともできるし、先生が似たような味わいでデイリーワインなら、、とお勧めしてくれることもある。
今回のワインをベースに、世界中から、シャルドネにフォーカスを当てたお勧めワインを紹介してもらった。1本1000円台からあるから、とても買いやすい。僕は、Vin de Pays d’Oc の Gérard Bertrand が作る DOMAINE de L’AIGLE のシャルドネを買ったけれど、これはとても美味しかった。C.P. が相当に高い。
さて、教室も終わって一段落したところで、さらにワインの週末テイスティング。今週は、コルトン・シャルルマーニュの特集だった。
Bonneau du Martray の Corton-Charlemagne の垂直
1994年と2007年のコルトン・シャルルマーニュを大振りのグラスで楽しめる。
熟成してこそのコルトン・シャルルマーニュ。同じブルゴーニュでも、ムルソーやシャサーニュとはまた違ったキャラクターなのがおもしろい。1994 は特に飲み頃で美味しい。
さらに、最近始まった企画で、「ブラインド・テイスティング大会」というテイスティングが月1回ある。
参加費525円で、4杯のグラスを味わい、その品種をあてるという楽しいクイズだ。
ブライドというと難しいと思われる方もいらっしゃるかもしれないけれど、実際にはヒントが紙に書かれていたりして、全くの手探りというわけではない(そういうブラインドも別なケースではあるけれど)。
この日の4種類は、
・スペインのカベルネ・ソーヴィニヨン
・アルゼンチンのサンジョヴェーゼ
・チリのメルロ
・チリのピノ・ノワール
だった。店長が、「簡単ですよ」というので、簡単だと思って色と味だけ見て、30秒で答えを出したら惨敗。ニューワールドが若干苦手というのもあるけれど、これは悔しかった~
で翌日、リベンジ。前日のは記憶に残っていなかったのだけれど、心を入れ替えて、きっちりテイスティングノートをつけて、それをもとに品種の推定を行ってみた。
その結果、、、
ブラインドテイスティング大会で全問正解するともらえるチケット
となり、面目躍如かな・・まぁ、まぐれだと思うけれど。テイスティングノートをつけることの大切さを、感じたイベントだった。3月も、無料で参加できるという太っ腹な企画。さらに週末テイスティングも10%OFFとは、がんばってテイスティングした甲斐があったかも。
そんないろいろなことがある楽しい、エノテカ二子玉川店。今後のレッスンの予定は、以下のようになっているようなので、興味のある方は、ぜひご一緒しましょう!優しい先生が、懇切丁寧に、美味しいワインを教えてくれます。場所は、マロニエコートの先で、ABCクッキングスクールの向かいです。
「ワインの基礎編」
2010/05/15 14:00~ ワインの基礎知識
(赤・白・ロゼ・スパークリングの違い、葡萄品種の種類と特徴)
2010/05/22 14:00~ フランスワインを知るPart 1
(ワイン法、ボルドー地方、ロワール地方のワインについて)
2010/06/05 14:00~ フランスワインを知る Part 2
(ブルゴーニュ地方、コート・デュ・ローヌ地方のワイン)
2010/06/19 14:00~ イタリアワインを知る
(イタリアのワイン法、多様な葡萄品種と各州の特色)
2010/07/03 14:00~ 注目のニューワールド
(高品質で低価格の秘密、主な産地の特徴など)
2010/07/10 14:00~ 美味しいワインの選び方
(ラベルの読み方、お店で選ぶときのポイント、自宅で美味しく楽しむこつなど)
「フランスワイン編」
2010/05/16 14:00~ コート・デュ・ローヌ
(知る人ぞ知る赤ワインの名産地!北部、南部の特徴)
2010/05/23 14:00~ シャンパーニュ
(シャンパーニュの基本、産地や製法による違いを知る)
2010/06/06 14:00~ ブルゴーニュ Part 1
(ブルゴーニュの基本、コート・ド・ニュイについて)
2010/6/20 14:00~ ブルゴーニュ Part 2
(コート・ド・ボーヌについて、おすすめ生産者)
2010/07/04 14:00~ ボルドー Part 1
(左岸地区のワイン、産地の特徴とメドック格付けシャトーを知る)
2010/07/11 14:00~ ボルドー Part 2
(右岸地区のワイン、ポムロール・サンテミリオン、2大地区を知る)
問い合わせは、
ワインショップ・エノテカ 玉川高島屋S・C店
TEL 03-5717-3334 FAX 03-5717-3335
へどうぞ。定員があるので(MAX 16名)、電話やFAXで予約をすると確実です。
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南イタリア最高のレストラン「ドン・アルフォンソ1890」のおもてなし [イタリア旅行記]
アマルフィ海岸の、サンタガタという小さな町に、南イタリア最高のレストラン「ドン・アルフォンソ1890」がある。南イタリアで初めてミシュランの三つ星を取ったことのあるレストランとしても有名だ。オーガニックにこだわった農園を持ち、リゾートらしく風光明媚で、かなりこだわりのあるリストランテだと聞いていた。パートナーの提案で、僕の誕生日は、このレストランで祝うことになった。
「今晩、ドン・アルフォンソへ行くんだ」とホテルのステファノに言ったら、それは素晴らしい!と、すぐにリムジンの手配をしてくれた。サンタガタは、ソレント半島の山間部にあり、公共交通機関で行くのは至難の業だからだ。
リムジンは、メルセデスだった。普通のタクシーみたいなものが来ると思っていたので、ちょっとびっくりしたけれど、こういうレストランに行く場合には、やはりそれなりの準備というものが必要らしい。
ソレントから1時間弱走っただろうか。到着すると、レストランのスタッフがすぐにやってきて、ドアを開けてくれた。気が利いている。でも、どうやらそういうサーヴィスをしてもらえる場合と、そうでない場合があることに気がついた。ステファノの言う通りかもしれない。
ドン・アルフォンソ1890は、夜の8時にオープンなのだけれど、早めの7時半に到着してしまった。イタリアのレストランは、午後8時からというところが意外と多い。しばし、敷地内にあるウェイティングバーで、待つことになった。
まずは、ストゥツキーノとスプマンテを楽しみながらオープンを待つ
ウェイティングバーからは、調理室が見える。
調理室もタイルを多用しており、南イタリアのリゾートなんだなと感じさせてくれる。
パートナーが気がついたのだけれど、どうやら着物で現れたパートナーを見て、スタッフ達が大慌てになったらしい。レストランの中が少し見えたのだけれど、テーブルの配置を大幅に変更していたそうだ。さてさて。
ドン・アルフォンソ1890の店内。白を基調としたエレガントなインテリア
通されたのは、普通のテーブル席ではなくて、絵が飾ってある特別なソファ席だった。このレストランには、このソファ席は2つしかない。 おそらくパートナーの着物効果なのではないかと思う。
ちょっとラブリーな感じだけれど、店内が見渡せてとても居心地のよい席。
再び、スプマンテで乾杯をしつつ、メニューを見る。La Tradizione という伝統的な料理によるコースと、La Degustazione と呼ばれるモダンな「マルチコース」、およびアラカルトの3通りが用意されていた。僕たちは、La Degustazione を選ぶことにした。
ソムリエに、このコースの内容を聞き、それに合ったワインのマリアージュの提案をしてもらうことにした。ワインリストはかなり充実しているのだけれど、料理がイメージしにくいので(これはコモ湖の「ミストラル」の時もそうだったけれど)、おまかせにした。誕生日だし、少しくらい高いボトルでもよいかと考えていた。なんと、このソムリエは日本語が少し話せてびっくりした。ドン・アルフォンソ1890のスタッフは、時々招かれて、ホテル ニューオータニへ来ているとのことだ。
Tenuta Adolfo Spada の FLORES 2007
普段は赤ワインばかり飲む我が家だけれど、提案されたのは、地場品種であるファランギーナ種とフィアノ種の混醸の白ワインだった。Tenuta Adolfo Spada の FLORES 2007。そう、ナポリ近郊の世界遺産でもあるカゼルタにあるワイナリーだ。まさに地元のワイン。ちょうど先日 MW ジャンシス・ロビンソン女史も言っていた通り、「マルチコース」には地場品種の白ワインを合わせる、というセオリーにのっとっていることに気がつく。
FLORES 2007 は、IGT Roccamonfina だ。グレコやフィアノの DOCG もリストにあったけれど、ドン・アルフォンソ的にはこれが華やかでバランスがよくモダンで料理との相性がよくお勧めとのこと。ファランギーナ種が85%、フィアノ種が15%。全て手摘みで収穫され、ステンレスタンクで発酵と熟成がされる。生産量は8,000本で、地元にしか出回っていないらしい。外観はムギワラ色の淡い色調で、輝きがある。とてもフレッシュで切れのよい白だ。白い花のようなフローラルな香りや、リンゴやかんきつ類の爽やかな香りが広がり、華やか。しっかりとした酸とミネラルのバランスがよく、骨格がはっきりとしていてはつらつとした印象。ただ、サーヴする温度は12℃~14℃とエチケットに書かれていた。
サーヴィスは、総じて、エレガント。フレンドリーだけれど、よく気配りができていて、心地がよい。
さて、料理はというと、マルチコースだけあって、独創的な美しい盛りつけ(ある意味、和的な要素が感じられた)のお皿が次々と出てきた。
Calamaretto leggermente affumicato ripieno di formaggi locali con crema tiepida di peperone giallo
軽く燻製した赤ちゃんイカに、地元のフォルマッジオを詰めて、温かい黄コショウのスープを添えて
和食を思わせるお皿だけれど、きちんとした南イタリアの風味を感じる。ワインとの相性もいい。
Anatra ai sentori di cacao, arancia, banana e riduzione di Aleatico
カカオとオレンジ、バナナ、そしてアレアティコ種のワインを煮詰めた香りのアヒル
なるほど、こういうお料理があるから、白ワインの FLORES を合わせのだと気がついた。新しい味だけれど、エレガントで美味しい。
Ristretto di cappone di mare con nudi di ricotta ed ortiche
リコッタチーズとイラクサの小片にホウボウのコンソメを添えて
これはとても和のテイストを感じる一品。実際、魚の団子のような味わいだった。
Cappelli di pasta farciti di pollo biologico alla genovese con fonduta di parmigiano e verdure croccanti
オーガニックチキンを詰めた自家製パスタのCappeli。ジェノヴェーゼのラグーと、パルミジャーノのフォンデュにクリスピィな野菜を添えて
プリモピアットに相当するお皿。チキンのしっかりした味わいに、食感が楽しい。
Cernia ai sentori di vaniglia con crocchette allo zenzero e zabaione alla colatura di alici
ヴァニラの香りのハタに、ジンジャーのクロケット、イタリアの「魚醤」のサバイヨンを添えて
セコンドピアットのひと皿目。手が込んだ複雑さのあるハタのお料理。
Faraona di campo farcita di fegato d’oca al profumo di alloro e “ chips” di peperone rosso
放し飼いのホロホロ鳥にガチョウのレバーを詰めてローリエの香り、赤ピーマンの”チップス”を添えて
セコンドピアットのふた皿目。ホロホロ鳥がガチョウのレバーによってしっかりした味わいとなり、香りが高い。
Selezione di formaggi
フォルマッジオに蜂の巣の蜂蜜を添えて
蜂蜜が、蜂の巣に入っているところが嬉しい!フォルマッジオのセレクションも、かなり充実していて選ぶのに迷うほどだった。
ジャガイモを使った独創的なドルチェ。
パートナーとスタッフに祝福された幸せな一瞬。
食後には、エスプレッソと自家製リモンチェッロをいただいた。やはり、アマルフィならリモンチェッロ!
実は、こうしてお料理がサーヴされている間中、マダム・リヴィアが各テーブルをまわって、挨拶をしていた。我が家のテーブルにも、2,3度足を運んでもらったと思う。とても気遣いのある美しい方で、他のテーブルでは「あのマダムが来てくれた!」と喜んでいた人もいた。イタリアでは、かなりな有名人のようだ。
そのマダムから、「よろしかったら食後にライブラリーへいらっしゃいませんか?」と誘われた。全員というわけではないので、マダムのお気に入りや特別なイベントのゲストが案内されているのかもしれない。
このライブラリーは、1890年にさかのぼるドン・アルフォンソの資料の他、自家製のリモンチェッロやオレンジジャム、オリーヴオイルなども購入することができる。だけれどソファでくつろぎ、マダムと歓談のできる、さながらサロンのようなところ。美味しいリモンチェッロも無料で飲ませてもらえる。スイスから来たご夫妻とも仲良くなった。「日本の方はチーズは食べるの?」なんて聞かれて、笑ってしまったけれど。僕が、ネスプレッソのファンであることや、スイス航空で来たのですよ、などと話をして盛り上がった。
さらにその後、地下のカーヴへ案内をしてもらった。
ドン・アルフォンソ1890の地下カーヴには、見覚えのある偉大なワインがずらりと並んでいた。実に4万本。素晴らしいカーヴだ。ワイン愛好家としては、ただただ溜め息が出てしまったが、それにしても長い階段がつらかった!
その後、さらにドン・アルフォンソのクッキングスクールのキッチン(青いタイル張りでとても美しい)や、庭園なども案内してもらった。また、宿泊施設もあるそうで、プールもあった。
星付きのグランメゾンなのだけれど、単なるレストランではなく、農園を持ち、宿泊もでき、様々なファシリティを持った素晴らしいドン・アルフォンソ1890。Non Solo Ristrante といったところだろうか。なるほど、南イタリア最高のレストランと呼ばれる理由が分かった気がする。
ゆっくりくつろいでいたら、気がついたら、午前1時近くになっていた!
マダム・リヴィアと一緒に
最後に、マダムと一緒に写真を撮った。「今度は、ぜひ泊まりにいらっしゃってくださいね」とマダム。さらにお土産に、パスタやドン・アルフォンソ1890のDVDなどをいただいた。
そしてマダムやスタッフの皆さんに見送られながら、タクシーでドン・アルフォンソ1890を後にした。
ここには書かなかったけれど、さらに色々な気配りをしてもらったことや、昔のエピソードの話なども記憶に残っている。
サンタガタへ行くのは、ちょっと大変だけれど、もしアマルフィ海岸へ行くことのできる方がいらっしゃったら、ぜひともドン・アルフォンソ1890を体験してみてほしい。ここには、イタリア流の、おもてなしの心が満ちあふれている。
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Jancis Robinson(ジャンシス・ロビンソン)女史来日! [ワイン]
前回、>> Master of Wine, Jancis Robinson 来日 で書いたとおり、僕は15年来の Jancis Robinson 女史のファンであったわけだけれど、KOJ (Koshu of Japan) と日本ソムリエ協会の粋な計らいによって、ついにセミナーでお目にかかることができた。2010年2月23日。Jancis Robinson(ジャンシス・ロビンソン)MW (Master of Wine) 女史の来日を、一日千秋の思いできたのだから、本当にラッキーなチャンスだったと思う。
僕の最初のワインの「先生」は、Jancis Robinson MW(Master of Wine)。大英帝国勲章の OBE (Officer of the Order of the British Empire) でもあり、英国王室のセラーをまかせられている。僕は書籍やメディアを通して彼女から、色々なことを学ばせてもらってきた。実はワインエキスパートの試験の時ですら、ソムリエ協会の教本だけでなく、彼女の “Jancis Robinson’s WINE COURSE” を翻訳した、『ジャンシス・ロビンソンの世界一ブリリアントなワイン講座』(上下)をボロボロになるまで読んだ。初心に返ろうと BBC 放送のビデオも何度も見た。ユーモアのある彼女の「講座」は、ためになるだけでなく、とても楽しいものだ。時にユーモラスに、時にシニカルに。
今回の彼女の来日の様子は、青木冨美子先生の記事 >> 日本が誇る“甲州ワイン”を世界に! 力強いサポーターは著名なジャンシス・ロビンソンMW やニュースサイトにプロの視点から詳しく書かれているので、僕は、ワイン愛好家でありファンとして見たジャンシス・ロビンソン女史について書きたいと思う。ただ熱心なファンであるから、若干バイアスがかかってしまっていることはご容赦願いたい。
今回のセミナーの会場は、銀座の2つ星イタリアンレストラン、アルジェントASO。かつて、ジャンシス・ロビンソン女史が、最高のテイスティング環境は、レストランで気の合う仲間とリラックスして、ワインをゆっくり楽しむこと、と言っていたことをちょっと思い出した。
こんな感じで、まさにブリリアントな会場で、リラックスして彼女の話を聞くことができた。ちなみに、この日は14時からの予定だったのだけれど、僕は気分が高まって13時には会場に到着してしまった。もちろん一番乗り!というわけで、彼女の真ん前の席を陣取ったのでした。一語一句聞き逃さないように、見逃さないように。
パープルのカーディガンに身を包んだジャンシス・ロビンソン女史は、とてもスマートでエレガントな出で立ちだった。15年前の放送と、同じイメージの彼女が目の前にいると思うとドキドキしてしまったけれど、一生懸命、彼女の言葉に耳を傾けた。ジャーナリストだけあって、かなりハキハキと分かりやすくクィーンズ・イングリッシュをしゃべるのだけれど、通訳の方もよくがんばってらっしゃったと思う。なので、2度聞くことができたわけだから、僕の手帳には彼女の発言がビッシリ書きこまれている。
ジャンシス・ロビンソン女史の第一印象はといえば、とても知的だけれど、気さくで、ユーモアがあって、チャーミングで、オーラがある。 誰もが彼女を好きになる理由が分かる気がする。 Master of Wine であり、OBE で、英国王室のセラーも まかされているのだけれど、そんな偉そうな感じは一切なかった。誰にでも、気さくに応対してくれた。
この会場には、若い方や女性が多くて、とてもいいことだと思います。というのが彼女の最初の一言だった。なんか、ちょっと嬉しい(いや、僕はもう若くはないのだけれど(笑))。
そして世界のワイン動向について、最先端の話も含めて、歴史を話してくれた。振り子のような揺り戻しの歴史なのだけれど、かいつまんで書くと、こんな感じ。
1.1980年代の白ワインブーム
ステンレスタンクや、発酵時の温度コントロールができるようになり、フレッシュなスタイルの白ワインが作られるようになりブームが起きた。シャルドネが世界へ広がっていった。ただ、ブレンド物も多かった。
2.1985年~2005年の赤ワインブーム
「ワイン・グル」(導師)の時代。かつてワインは複雑で難解で、プロの意見がなければ消費者はワインを選ぶことができなかった。そこへ、ロバート・パーカーやワインスペクテイターといった、100点満点のスコア(点数)によってワインを評価するグル達が現れて、世界を変えた。評価されたのは、ビッグでパワフルな赤ワインたち。加えて、アメリカのドキュメンタリー番組 “60 Minutes” で、いわゆるフレンチ・パラドックスが紹介され、赤ワインが健康にいいという評判になった。「まるで薬局に並ぶかのように、人々がワインを買うようになった」と。さらに、2004年の映画”SIDEWAYS”によって、ピノ・ノワールのブームがやってきた。ここで、ジャンシス・ロビンソン女史は、”KOSHU MOVIE” を作ったら?と言って、会場をわかせていた。
3.ピノ・ノワールのブームは、グルの時代からの大きな変化のきざし
ブルゴーニュに代表される、ピノ・ノワールのワインは華やかで繊細でエレガントなのが信条(だと僕は思っている)。これは、グルたちが先導してきたアルコールが高くタンニンが強いパワフルなワインとは対照的。このことは、グルの時代からの変化のきざしで、消費者が力を持ちつつあることの現れではないかと、ジャンシス・ロビンソン女史は言う。もはや、ワインエキスパートの話を鵜呑みにしない時代がやってきたのだと。そして、ウェブサイトやブログ、掲示板、セラートラッカー( http://www.cellartracker.com/ ) 、レコメンデーションなどの情報が主流になってきており、民主主義的なワインの時代が来ているのではないかと。
4.ロゼワインブーム
日本ではまだだけれど、アメリカやヨーロッパではロゼワインブームがだいぶ前から来ている。ビッグなワインから、軽い赤ワインへの動きのサインであり、消費者の嗜好の大変化が起こってきている。それに呼応するように、白ワインもアルコール度数が高くリッチでオークを多用したスタイルから、もっと線の細いシャブリのようなスタイルへ移行しつつある。そんな消費者のサインが感じられる。市場の動向に敏感なオーストラリアは、いち早く、その流れへシフトしてきており、アルコール度数が10~11%の辛口白ワインを作り始めた。
5.そして「リースリング・ルネッサンス」からはじまる白ワインブーム
世界のソムリエがリースリングに注目をし、さらに5~7年前には無名だったオーストリアのグリューナー・フェルトリーナーのブームがやってきた。スペインのエル・ブジや、カリフォルニアのフレンチ・ランドリー、ロンドンのファット・ダックといった世界の一流レストランでは、品数の多い「マルチコース」が提供されているけれど、そこでは料理ごとにグラスでワインを合わせる。その際に、合わせやすいのが白ワイン。白と赤の割合が6対1だそうだ(圧倒的に白が多い)。料理がライトな方向に向かっており、魚を使った料理や、肉でもチキンへとシフトをしてきており、それには白ワインというわけらしい。もちろん、和食も!さらには、ヨーロッパではチーズにも白ワインを合わせるケースが増えてきたのだという。実際、僕の去年のイタリア旅行でも、コモ湖の「ミストラル」やアマルフィ海岸の「ドンアルフォンソ1890」などの星付きレストランでは、マルチコースに地場品種の白を合わせて楽しんできたことを思い出した。
6.ABC (Anything But Cabernet/Chardonnay)
世界のトップソムリエたちは、常に新しいワインを探し続けている。ABC という標語のもとに、これまでのカベルネ・ソーヴィニヨンやシャルドネといった国際品種ではなく、テロワールを映し出す地場品種への注目が集まっている。イタリアならフリウリのリボッラ・ジャッラ種、そして最近はアルト・アディジェなど。また、ドイツのシルバーナー種。品種の個性の強いソーヴィニヨン・ブランと違い、土地の個性が現れやすい品種なのだそうだ。ただ、地場品種は、地元では「当たり前」に思われすぎていて、過小評価される傾向があるらしい。いわば、舶来品をありがたがるみたいな傾向があるのだろうか?これまで地元でリスペクトされなかったのだけれど、でも時代が変わってきた。また最近は、ロワールのシュナンブラン種やハンガリーのトカイのフルミント種などの例では、甘口ではなく、長熟でしっかりしたボディの辛口が作られるようになってきている。僕も、そういえばピコリット種の辛口を最近味わった。
7.そして甲州の時代へ
このような時代の流れを考えると、1000年の歴史を持った、まさに「地場品種」であり、他に似たもののない甲州が世界で認められる日が来るのではないか、とジャンシス・ロビンソン女史は言う。特に、イギリスやアメリカでは、常に新しいワインが求められている。低アルコールかつ、ピュアで、トランスペアレント(透明)なスタイルの甲州は、イギリス向きだ。甲州はピュアだと言っても、弱弱しいのではなく、authenticity、つまり本物であり、退屈ではないということを強調していた。10年前(赤ワインブーム)では難しかったけれど、今の時代は、甲州のようなデリケートでピュアな白ワインが成功する条件が整っている。ショップでの価格競争ではなく、ハイクラスなレストランや、和食(これはイギリスやアメリカでは大流行だけれど、普通はビールやせいぜい日本酒が提供されている)、またはオイスターバーのようなところへ売り込んで行ったらいいのではないか、と。甲州のチャンスが到来している。
かいつまんで書くつもりが、つい長くなってしまいました。もっと色々な話をユーモアを交えて話してくださったのだけれど、時代は、ピュアでモダンで新しい白ワインへと向かっているということがよく理解できた。その最先端が、甲州というわけだ。
とても知的好奇心をくすぐられる話が満載で、書ききれないのだけれど、ジャンシス・ロビンソン女史からこのような話を聞けたのは、とても有り難い体験だった。
その後、甲州を5種類テイスティングした。テイスティングコメントについては、青木先生の >> 日本が誇る“甲州ワイン”を世界に! 力強いサポーターは著名なジャンシス・ロビンソンMW が的確で詳しいので、僕は割愛するけれど、クリーンでピュアな甲州は、とても興味深く思った。
もともとは、青木先生に甲州の良さを教えてもらってきたのだけれど、今回の、ジャンシス・ロビンソン女史の話で、ますます甲州への興味がわいたと思う。
最後に、ジャンシス・ロビンソン女史のところへ行って、ちょっと話をして、彼女の大著 “The Oxford Companion to Wine, 3rd Edition” にサインをもらった。彼女は、気さくに応じてくれた。A4版で800ページを超えるこの大著は、僕にとってはバイブル。重い思いをして持って行った甲斐があった。一生の宝物だ。
Jancis Robinson MW 女史のサインをもらった!
KOJ のみなさま、本当にありがとうございました。
最後に、香港へ旅立ったジャンシス・ロビンソン女史の Twitter でのつぶやきを紹介して、この記事を終わりにします。
Good to be in HK for @roomtoread fundraiser but sad to leave the land of Koshu, cold bathrooms & warm loo seats.